前職でもSynology社のNASは扱っていましたが、今回はエントリーモデルのNAS「DS220j」を買って数年経った今だから言えることや感じたことを、正直にレビューしていきます!
NASについては詳しく書いた記事がありますので、まずはこちらを読んでいただけると嬉しいです!

なぜDS220jを選んだのか?
NASにはプロ向けの高性能なモデルもたくさんあります。しかし、初めて買う人にとっては「そもそも使いこなせるか分からない」という不安がありますよね。 私がDS220jを選んだ理由は次の3つです。
とりあえず買うには価格が安い
NASを始めるには、NAS本体だけでなく、中にデータを入れるための「HDD(ハードディスク)」を別途購入する必要があります。そのため、思ったより初期費用がかかります。 DS220jはSynologyのラインナップの中で最もお値打ちな入門モデルなので、「まずはNASがどんなものか試してみたい」という人にぴったりでした。
初心者向けで設定が簡単そうだった
NAS初心者にとって「設定の難しさ」は最大の壁です。その点、Synologyは利用者が多く、ネット上に初心者向けの情報がたくさん転がっています。実際の操作画面もスマホ感覚で分かりやすかったです。
HDDが壊れても安心な設計
DS220jには、HDDを2台入れることができます。 同じデータを2台のHDDに同時に書き込む設定にしておけば、万が一片方のHDDが寿命で壊れても、同じデータを2台に保存しているため、片方のHDDが故障しても運用を継続できます。 初心者の私でも「これなら大切な思い出の写真を安心して預けられる」と思えました。
購入前に知っておきたいDS220jの弱点
ここまでは便利だった点を紹介してきましたが、正直に言うとDS220jには気になる部分もあります。
私自身、NAS初心者として購入した当初は満足していましたが、使い込むほどにエントリーモデルならではの限界も見えてきました。
今から購入を検討している方は、この部分も理解したうえで選んだ方が後悔しないと思います。
メモリ512MBが大きな制約になる
DS220jのメモリは512MBしかなく、後から増設することもできません。
購入当初はあまり気になりませんでしたが、DSMのアップデートやアプリを利用するようになると、このメモリ容量が大きな制約になってきます。
実際、私も「CPU使用率は低いのに何故か動作が重い」という場面を何度も経験しました。
調べてみると、海外のコミュニティでも同様の報告が多く見られました。
原因としてよく指摘されているのが「スワップ」です。
スワップとは?
メモリを作業机だとすると、HDDは倉庫のようなものです。
本来、パソコンやNASは作業机(メモリ)の上で作業を行います。
しかし机(メモリ)が小さすぎると、使っている資料を一度倉庫(HDD)へ片付けて、新しい資料を机(メモリ)の上へ持ってくる必要があります。
そしてまた必要になったら倉庫へ行って、資料を取り出して、別の資料を倉庫へ戻す…という作業を繰り返します。
つまり資料の持ち運びの作業(スワップ)があるから重く感じるのです。
HDDはメモリより圧倒的に遅い
問題なのは、HDDはメモリと比較すると圧倒的に遅いことです。
そのため、
- 写真のサムネイル生成
- Synology Photosの処理
- Driveの同期
- バックアップ処理
などが重なると、NASは頻繁にHDDとメモリの間でデータを出し入れするようになります。
結果としてCPU使用率は低いのに重いという不思議な状態が発生します。
DSMのアップデートでだんだんと重くなる
購入当初はそれほど気になりませんでしたが、時代の変化に伴いDSM側も機能を重視したアップデートを重ねるごとに、全体的なレスポンスが悪くなった印象があります。
例えば、
- DSM管理画面の表示
- パッケージセンターの起動
- 設定画面の切り替え
- Synology Photosの表示
これだけでもメモリの消耗が激しくて待ち時間が発生したために現在は自動アップデートをOFFにして運用をしています。
ファイルサーバーとしては問題なく動いていますが、スペックの悪いNASの運用はアップデートしてしまうと運用するには重たくて使えなくなってしまうので気を付ける必要があります。
Synologyの便利機能を最大限に活かしきれない
DS220jを購入すると、
- Synology Drive
- Synology Photos
- Hyper Backup
- Cloud Sync
などの便利な機能を使いたくなります。
しかし実際に利用し始めると、スペック不足を感じる場面があります。
特に、
- 写真のインデックス作成
- サムネイル生成
- 同期処理
などバックグラウンド処理が発生すると動作が重くなりがちです。
Synologyのエコシステムを最大限活用したい人には少々物足りないかもしれません。
実際に感じたこと
DS220jは単純なファイル保存だけなら問題ありません。
しかし、
- Synology Photos
- Drive同期
- Cloud Sync
- Hyper Backup
などを利用し始めると、急に反応が悪くなることがあります。
これはCPU性能というより、512MBという限られたメモリ容量の影響が大きいのではないかと感じています。
HDDが2台しか搭載できない
DS220jは2ベイモデルです。これは初心者向けとしては分かりやすい反面、拡張性が低いというデメリットがあります。
私の場合はRAID1で運用しています。RAID1は2台のHDDに同じデータを保存する仕組みのため、4TBのHDDを2台搭載しても実際に利用できる容量は4TBになります。
安全性は高まりますが、容量効率は決して良くありません。
データ量が増えてくると限界が見えてきます。
4ベイモデルなら選択肢が広がる
例えば4ベイモデルで4TBのHDDを4台搭載した場合、4TB × 4台(総容量16TB)で利用可能容量が約12TBという構成が可能です。
RAID5はRAID1のように「丸ごと1台へコピーしている」わけではありません。実際にはパリティ(復旧用データ)が各ディスクに分散して保存されています。
つまり残りの4TB分はHDD故障時の復旧に必要なデータとして利用されます。もしHDDが1台故障してしまっても分散されたデータを使って復旧しますので差し替えるだけで運用が継続できるということです。
最初は2ベイで十分だと思っていた
正直、購入当初は2ベイで十分だと思っていました。
しかし実際に使い始めると、
- スマホの写真バックアップ
- 家族の写真や動画
- パソコンのバックアップ
- 仕事のデータ
- チーム共有用のファイル
など保存するデータがどんどん増えていきます。
NASは便利なので、気付けば「とりあえずNASに保存しておこう」という運用になりがちです。
その結果、「もう少し容量に余裕が欲しい」「将来的にHDDを追加したい」と思うようになりました。
DS220jは入門機としては優秀ですが、長期運用やデータの増加を考えると、4ベイモデルの柔軟性は魅力的だと感じています。
RAIDの仕組みを十分に理解をして検討が出来ていれば購入するNASは4ベイ以上のモデルになっていたかもしれませんね…
こんな人におすすめします!
エントリーモデルはこんな人におすすめ!
- NASを初めて使う、予算を抑えたい人
- 写真や動画、書類の「保存・保管」がメインの人
- スマホの容量不足を解消したい、パソコンのバックアップを取りたい人
私が使用しているDS220jは現在販売終了となっているので現在販売している後継機のご紹介です!
後継機とは言え機能は向上していますが、実際にDS220jからどのくらい変わったのかと言いますと…
| 項目 | DS220j | DS223j(後継機) |
|---|---|---|
| CPU | Realtek RTD1296(4コア 1.4GHz) | Realtek RTD1619B(4コア 1.7GHz) |
| メモリ | 512MB DDR4 | 1GB DDR4 |
| メモリ増設 | 不可 | 不可 |
| LAN | 1GbE ×1 | 1GbE ×1 |
| ベイ数 | 2ベイ | 2ベイ |
| DSM対応 | DSM7対応 | DSM7最適化 |
つまり、CPU性能の向上に加えてメモリが512MBから1GBへ増量されており、DS220jで指摘されることの多かったメモリ不足による動作の重さが少し改善されています。初めてNASを導入する方であれば、現在はDS223jを選ぶのが現実的な選択肢になるでしょう。
さらに上位モデルはこんな人におすすめ!
- 大量の写真をスマホアプリでサクサク快適に見たい人
- 複数人(仕事のチームや大家族)で同時に頻繁にアクセスする人
- 少しでも動作のモタつき(待ち時間)を減らしたい人
- Synology PhotosやDriveなどの便利機能を積極的に活用したい人
上位モデルはCPU性能やメモリ容量に余裕があるため、写真のサムネイル生成やインデックス作成、ファイル同期といったバックグラウンド処理が発生しても比較的快適に動作します。
実際、DS220jでもファイル保存やバックアップ用途であれば十分活躍してくれます。しかし、写真管理やチーム共有、クラウド同期などSynologyの便利機能を活用するほど、上位モデルとの性能差を感じやすくなります。
パソコン1台だけで完結するなら外付けHDDでも十分ですが、「スマホもパソコンも使っていて、データ管理をもっと快適にしたい」という方にとって、NASは非常に便利な選択肢です。
特に長く使う予定があるなら、多少予算を上げてでも上位モデルを選ぶ価値は十分あると思います。
さらにさらに上位モデルはこんな人におすすめ!
- 写真や動画を大量に管理したい人
- 複数人で頻繁にアクセスする人
- Dockerや仮想環境なども活用したい人
- 長期間使う前提で拡張性を重視したい人
上位モデルになると、単に動作が速くなるだけではありません。
例えば、
- Synology Photosの顔認識や検索が快適になる
- Driveによる複数台PCの同期がスムーズになる
- Dockerを使って各種サーバーやアプリを動かせる
- メモリ増設で将来的な拡張ができる
- 4ベイ以上ならRAID5などで容量効率を高められる
といったメリットがあります。
私自身、DS220jでもファイル保存用途としては十分満足しています。
ただし、「NASをデータ置き場として使いたい」のか、「NASを家庭内サーバーとして積極的に活用したい」のかで選ぶべきモデルは変わります。
写真管理やバックアップが中心ならDS223jでも十分ですが、Synologyの便利機能をフル活用したいならDS224+やDS723+などの上位モデルを検討する価値は十分あると思います。
今から買うならどっち?
DS220jを一言で表すなら、「NASの便利さと感動を教えてくれた、最高の入門機」です。
スマホからのアクセス、自動バックアップ、パソコン同士の同期など、NASに求める基本的な魅力はこれ1台で十分に体験できました。
一方で、その便利さを知って、色々な機能を欲張って使いこなそうとしたからこそ、「もう少しサクサク動く高性能なモデルが欲しいな」と思うようになったのも事実です(Synologyのシステムが進化するにつれて、入門機のDS220jには少し荷が重くなってきた印象もあります)。
なので今の段階でNASを買いたい!となったら4ベイ以上のメモリがそこそこあるモデルが良いなと思っています。
しかし、金額を見るとめちゃくちゃ高いんですよね…
あとは予算の関係になりますかねぇ…
さいごに
「写真が増えてきて困ったな」「データ管理を見直したいな」という方は、ぜひ自分専用の「自宅クラウド」を検討してみてはいかがでしょうか?
